投資信託の「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」 はどちらが良いか?

投資信託

海外市場を対象とする投資信託には、同じ内容でも「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」がある場合がありますが、どちらを選択するのが良いかを調べてみました。

投資信託は国際分散投資も大事な要素の一つという事で海外の資産も必ず持ちたい所ですが、この為替ヘッジは初心者にとってわかりにくく悩ましい部分なのでそれぞれを比較していきます。

為替ヘッジとは?

まず初めに為替ヘッジとは何か?という事ですが、簡単に言うと為替ヘッジとは、投資信託を将来売却する時に為替の影響を受けにくくする方法の事を指します。

為替変動のリスク回避ができる

次に、為替ヘッジは何のためにやるのかという事ですが、これは将来「円高」になった場合、為替変動による損をしないようにするために行います。

例えば、アメリカの株式を購入する場合は円を米ドルに変えて購入する必要がありますが、売却時は逆に株を米ドルで売って、その米ドルを円にしなくてはなりません。購入時と売却時のドル円のレートが同一なら問題はありませんが、大概の場合は為替変動をしているので、その影響を受けてしまいます。

なので、為替ヘッジをしていればそういう事を気にせず純粋にその市場の値動きだけにリスクを限定する事ができます。

ただし、逆に将来「円安」になった場合はその恩恵が受けられず、為替変動による利益の上乗せは無くなります。

ヘッジコストが発生する

為替ヘッジをする場合は、「ヘッジコスト」と呼ばれるコストが発生します。

ヘッジコストとは、為替ヘッジを行う通貨と円の金利差の事で、為替ヘッジは為替の売予約、先物取引等を使って行うのでその為に支払うコストとなります。

なので為替ヘッジは、円高に振れた場合はメリットとなりますが、円安になると為替変動の恩恵を受けられず、しかも余計なヘッジコストまで支払うというデメリットになる可能性があります。

「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」の投資信託を比較する

為替ヘッジの概要を知った所で、次はそれぞれ「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」の投資信託を比較してみたいと思います。

用意できたデータ期間が3年ちょっとと短いのですが、実際の基準価額データで状況を見てみたいと思います。

i-mizuho先進国株式インデックス

ここにシミュレーション結果が表示されます


最初は「i-mizuho先進国株式インデックス」の為替ヘッジありとなしのデータです。

ドル円の為替相場は2012年以降は円安傾向にあった事から「為替ヘッジなし」の方が有利だった傾向が読み取れます。相場が$1 = 125円の時だとその差も大きく、評価額で約2,500円程度の差があった期間もありました。

こうしてみると円安の恩恵を受けられないデメリットって大きく感じられます。その時に上手く売却出来るかは別ですが…

その後、ドル円相場は100円割れまで円高が進行するのですが、この時は評価額の差が縮まり一時的に「為替ヘッジあり」の方が有利になる場面もありました。

「為替ヘッジあり」は良くも悪くも基準価額が「為替ヘッジなし」に比べ安定しているので、余計なリスクを取りたくない場合はこちらの方が良いのかもしれません。

SMT グローバル債券インデックス・オープン

ここにシミュレーション結果が表示されます


もう一つ別のデータとして「SMT グローバル債券インデックス・オープン」でも比較してみます。

こちらも先程とそう変わらない期間なので、「為替ヘッジなし」の方が有利だった期間が長いです。

どちらが良いか?

最後に「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」 はどちらが良いかをまとめたいと思いますが、見比べてみるとどちらも一長一短なので、こっちの方が断然良い!とは言える物ではない事がわかりました。

なので、どちらを選択するかはその人の運用スタイル次第だと思いますが、それぞれの向いているケースを個人的な主観でまとめてみたいと思います。

「為替ヘッジあり」が向いているケース

  1. 為替変動に左右されたくない場合
  2. 将来は円高になると予想する場合
  3. リスクの低い資産に投資する場合

「為替ヘッジあり」は為替変動のリスクを抑えたい場合の他に、リスクの低い資産に投資する場合に選択するのが良いのではと思います。

ここで言うリスクの低い資産とは国債の事を指していますが、国債をポートフォリオに組み込むのは値動きが他に比べると穏やかでより安定した収益が見込めるという理由からだと思うので、そこに変動の激しい為替が影響してしまうと意味が薄れてしまうのではと思います。

自分が、松井証券の投信工房で買っている銘柄は、債券は為替ヘッジあり、それ以外の海外資産は為替ヘッジなしという形で構成されているのですが、何でこのように分けているのかを疑問に思って調べた所、上記のような考えがあるとわかって納得した次第です。

「為替ヘッジなし」が向いているケース

  1. 余計なコスト(ヘッジコスト)をかけたくない場合
  2. 将来は円安になると予想する場合
  3. リスクの高い資産に投資する場合

次に「為替ヘッジなし」が向いているケースは先程とほぼ逆で、リターンを重視したい場合に選択するのが良いと考えられます。

円安時にはその恩恵を受けたい場合や、ヘッジコストを無くして余計なコストを省きたい場合はこちらの選択が良さそうです。このコストは基準価額に影響してきますので。

まとめ

最後にまとめると、債券は「為替ヘッジあり」、それ以外は「為替ヘッジなし」が良いかと個人的には思います。

元々は投信工房でロボアドバイザーが組んだポートフォリオで、何で為替ヘッジありとなしで分けているのか?と疑問に思ったのが発端だったのですが、二つの特性を整理してみて何となく使い方がわかったような気がしています。

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