積み立て投資は「S&P500やVTIだけ」で良いのかを再検討してみた

投資信託

最近になって投資に関するニュースをよく目にするようになりましたが、そのせいもあってか知り合いからも投資について聞かれる事が増えてきました。

積み立て投資を始めたのは約6年前でそこから実践し検討した結果アメリカへ投資するのが効率的と判断したので、聞かれた場合は「とりあえずS&P500に投資」がおすすめと答えていました。

しかし、6年前と今では世の中の状況も結構変わってしまったし、この先何十年も「S&P500だけ」で本当に良いのか不安になったので再検討してみました。

現在の積み立て設定(毎月)

まずはいま毎月何を買っているかの内訳です。スポット購入以外ではこれらの投資信託を買うように設定しています。

口座 投資信託 金額
特定 eMAXISSlim 米国株式(S&P500) ¥60,000
特定 楽天・全米株式インデックス・ファンド ¥16,667
つみたてNISA 楽天・全米株式インデックス・ファンド ¥33,333
iDeCo 楽天・全米株式インデックス・ファンド ¥23,000

見ての通り投資先は100%アメリカで、比率的にはS&P500よりVTIが多いのですがパフォーマンス的には両者アメリカなだけに大きくは変わらないです。

現状は「卵を一つのカゴに盛っている」状態

この状態でコロナショックを乗り越えていますが、これまではこのアメリカへの集中投資で良い結果が出ていました。しかし、冒頭で書いたように将来もこのままでいいのかは迷う部分ではありますね🤔

投資をする理由は老後資金を作るためですが、この投資金を使い始めるのは2050年あたりを予定しています。

その時もアメリカ企業が好調だったら良いんですけど、日本円と少しの個別株以外はほぼアメリカに資産が偏っているので、卵は一つのカゴに盛るなの格言に思いっきり逆らってしまっている点が気がかりです。

そこで、今買っているS&P500やVTIの他に、日本のTOPIXや世界を対象としたオールカントリー等の人気の投資先の状況も調べて比べていきます。

インデックス投資の年平均リターンを比較

最初に主要なインデックスの投資パフォーマンスを比べてみます。

楽天・全米株式インデックス・ファンドはVTI、オールカントリーはACWIで、括弧内は円換算のリターンを表示しています。

年率平均 TOPIX S&P500 VTI ACWI
5年 6.4% 11.8%
(17.8%)
10.7%
(16.6%)
7.5%
(13.2%)
10年 12.8% 13.1%
(20.1%)
12.4%
(19.3%)
9.3%
(16%)
15年 3.5% 9%
(10.5%)
8.7%
(10.2%)
5.7%
(7.2%)
20年 5.7% 9.7%
(10.8%)
9.8%
(10.8%)
8.4%
(9.4%)
30年 2.7% 10%
(10.5%)
7.8%
(8.4%)

過去20年で比べた場合、S&P500もVTIもそう変わらないのでパフォーマンス重視ならこのまま積み立てて問題無さそうですね。

インデックス投資のリスクを比較

次はリスク(変動幅)も確認していきます。

リスク TOPIX S&P500 VTI ACWI
5年 14.8% 17.4% 18.0% 16.5%
10年 15.6% 14.0% 14.5% 13.6%
15年 17.8% 15.9% 16.5% 16.8%
20年 16.9% 14.8% 15.3% 15.6%
30年 17.5% 14.7% 15.1%

数値が大きいほどリターンがブレる可能性が上がります。20年で比較するとS&P500が一番安定していて、VTIとオールカントリーは一緒くらいですね。

次にこの変動リスクがどれ位の範囲に収まりそうかを見てみます。

標準偏差 TOPIX S&P500 VTI ACWI
1σ(68.27%) 22.6%~-11.2% 24.5%~-5.1% 25.1%~-5.5% 24%~-7.2%
2σ(95.45%) 39.5%~-28.1% 39.3%~-19.9% 40.4%~-20.8% 39.6%~-22.8%

殆どが範囲に収まる2σで比べて見ると、オールカントリーはS&P500やVTIと比べてリターンの変動幅が大きいようです。

オールカントリーの現在の構成比率は約62%がアメリカになっていますが、世界のパワーバランスが変わってオールカントリーの構成比率が変わるかもとした場合はどう想定したらいいんですかね🤔

そして、我らがTOPIXですが長期で見ると変動がどのインデックスよりも高いです。しかし、直近5年ではもっとも変動幅が小さくなっています。

東証のデータを見てみると、旧一部市場の出来高は2013年をピークに減少し続けているのでこの影響でしょうか。

一通りパフォーマンスがわかった所で、これを元に今後の運用方針を再検討していきます。

現時点では米国一本で良さそうだけどこの先は?

過去の数値を見る限りだと米国一本の投資方針は変更する理由が無さそうです。

ただし、日本政府が2010年に予測した資料を見ると、将来もこのままの状況が続くとはちょっと思えない🤔

このグラフのアジアを占めるのは主に中国とインドになると思いますが、中国は既にGDP世界2位ですしインドがこの先経済成長を続ければ将来はこうなるという予測も。

自分が老後に入る2049年だとこのままでも逃げ切れそうには思えますが、老後は投資信託を取り崩しながら運用を続ける予定ですので、やっぱりオールカントリーの割合も増やしていった方がいいのかも…

もしくはMSCI エマージング・マーケット・インデックスに連動する「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」も少し買っておくか。楽天なら似たようなパフォーマンスの「全世界株式インデックス」になります。

そして、日本についてはインドどころかインドネシアやブラジルにも将来抜かれるという予測ですので、投資はこのまま海外中心で良さそうです。

オールカントリー(ACWI)のデータ

将来的にはオールカントリーも検討した方が良いかもしれないという事がわかったので、オールカントリーの現状データを確認してみます。

オールカントリーの構成はこのようになっているようです。

オールカントリーの対象国と比重

先進国(23カ国) アメリカ、カナダ、オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イスラエル、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、オーストラリア、香港、日本、ニュージーランド、シンガポール
新興国(24カ国) ブラジル、チリ、コロンビア、メキシコ、ペルー、チェコ、エジプト、ギリシャ、ハンガリー、クウェート、ポーランド、カタール、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、アラブ首長国連邦、中国、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、台湾、タイ

このうち国別の比重はこのようになっています。

  1. アメリカ:61.98%
  2. 日本:5.37%
  3. イギリス:3.69%
  4. 中国:3.49%
  5. カナダ:3.14%
  6. 他:22.33%
データ出典
MSCI ACWI Index
MSCI ACWI Index (USD)
※ 国、比重は2022/10/08時点のデータ

中国やインドの比率はまだ高いとは言えないですが、中国とインドが更に伸びてくれば今後の見直しで比率も変わっていきそうです。ただし仮にロシア市場のように何かしらの大きな影響が出てしまえば指数から除外される可能性もあります。

今は6割を占めているアメリカがこの先急激にしぼんでいくとは少し考えにくいですが、老後に向けた長期投資ですし今後はオールカントリーを買っていくのはありかもしれないですね🤔

米国一本なら新興国株式インデックスを足してみてはどうか?

アメリカへの集中投資が不安でオールカントリーを検討しているなら、今後経済成長が伸びるかもしれない中国とインドが半数を占める、新興国への投資を追加するのも良い選択かもしれません。

投資信託の場合だと「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」に連動する「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」が対象となります。

主要な投資先はこうなっていています。

  • 中国 = 32.4%
  • 台湾 = 15.1%
  • 韓国 = 12.8%
  • インド = 12.5%

新興国への投資追加はアメリカ以外の先進国は無視する形になりますが、新興国へも資産を振り分けておく事で中国やインドが今後世界をリードするようになっても資産が追随してくれるのではないかと…

投資金に手を付け始めるのは2050年ですが、そこから最低でも25年は生きてしまった長生きリスクも想定しないといけないので、投資理由が老後資金なのであれば世界の変化に強いポートフォリオにしないといけませんよね。

そう言う意味では、定期見直しで多分追随してくれるであろうオールカントリーが買い手にとっては最適解なのかもですが。

その他、参考になりそうな情報

今は投資ブームが来ているのか最近は投資に関する話題もよく見かけるようになりました。

例えば、VTIを積立ててFIREしたタレントの厚切りジェイソン氏に関するこんなニュースがありました。

この記事では米国株は数々の金融危機も乗り越えて来た実績があるし、アメリカは欲望の塊だからこの先も経営者達は株価を上げるのに必死になるんじゃないかと話しています。

また反対にこの記事も興味深いです。

この記事では現在の優等生であるアメリカよりも、まだ改善する余地があるアメリカ以外の可能性に投資する方が良いだろうと話しています。

また「年齢によって運用商品を変える必要はない」というのは参考になります。

今は株式中心でリスクをとりつつリターンを優先、引退が近づいたら債権の割合を増やしてリスクを下げて…と考えていましたが、読んでみてなるほどなと思った部分はあります。

ひとまず、オールカントリーを追加する方針に変更します

色々検討してみましたが、この先もアメリカが成長していく事を期待しつつも、やっぱり各種予測も無視できないので今後はオールカントリーも買っていくように変更しようと思います。

冒頭でも書きましたが現在の積立て設定はこうなっています。

変更前

口座 投資信託 金額
特定 eMAXISSlim 米国株式(S&P500) ¥60,000
特定 楽天・全米株式インデックス・ファンド ¥16,667
つみたてNISA 楽天・全米株式インデックス・ファンド ¥33,333
iDeCo 楽天・全米株式インデックス・ファンド ¥23,000

変更後

今後はこうしていきます。

口座 投資信託 金額
特定 eMAXISSlim 米国株式(S&P500) ¥10,000
特定 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) ¥66,667
つみたてNISA 楽天・全米株式インデックス・ファンド ¥33,333
iDeCo 楽天・全米株式インデックス・ファンド ¥23,000

期待通りのリターンを得られた場合、引退を予定している65歳時点では米国と全世界の資産割合はこのようになる予定です。

全世界:43%、米国:57%

その時にアメリカの立ち位置がどうなっているのかわかりませんが、一応は分散になるかなと考えています。

新興国じゃなくオールカントリーにする理由としてはこんな思惑です。

  • オールカントリーは時代に合わせて勝手にリバランスしてくれるはず
  • 中国とインド以外の国が台頭している可能性
  • オールカントリーより新興国インデックスの方が手数料が高い

という事で、もし今後知人におすすめの投資信託を聞かれたらeMAXIS Slimのオールカントリーと言うと思います。

もしかしたらまた次見直した時は言っている事が変わっている可能性もありますが、自分が一体何に投資しているのかは自分で考えないといけませんよね。

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