株で堅実なリターンを期待するなら、配当金を長期間貰い続けるのが一番の方法だと思いますが、今回はこの長期投資に向いた高配当銘柄の探し方について考察したいと思います。
日経平均も21,000円を超えてきて一度押し目が来ないかなと思う展開ですが、次の配当権利確定日に向けて新規購入、積み増しをする銘柄を探していきたいと思います。
配当狙いに絞って株を買う理由
最初に配当金を期待して株を買う理由を簡単に説明します。
株式で儲けるには大きくわけて、安く買って高く売るキャピタルゲインと、配当金を貰うインカムゲインにわかれると思いますが、将来株価が上がる株を予想するのは中々困難です。
今はアベノミクス効果で相場の時合もよく適当に買った銘柄でも株価は上がったりしますが、上がれば欲が出るし、下がれば損切りしたくなるしで売買タイミングってかなり難しいです。仕事があると相場に張り付いてもいられないですしね。
そこで、注目するのが配当金なわけですが、これなら株価が上下しようが配当が続く限り確実に儲ける事が出来ます。
時間はかかりますが売らなければ利益を生み続けるので、配当が出続け長期保有出来そうな銘柄を探そうとするのが今回の趣旨です。
インデックスを参考にした高配当銘柄の探し方
高配当銘柄を探す時は『予想配当利回り』に一番目がいってしまいますが、この指標だけを見て株を買ってしまうと大変です。
成長が緩やかになり事業が成熟すれば配当利回りを上げて株主に還元しようという会社もありますが、中には無理をして配当金を出している所もあるのでそういうのに気をつけないといけません。
高配当で株主を繋ぎ止めているのだとすると、業績悪化は即減配につながり株価も大きく下がってしまいます。いくら株価を気にしない投資法だとは言え、減配は大ダメージとなるので注意したいです。
そこで今回注目したのは『インデックス(指標)を参考にしたスクリーニング』です。
代表的なインデックスには日経平均やTOPIX等がありますが、高配当に的を絞った『MSCI ジャパン高配当利回り指数』というインデックスが丁度使えそうなので、今回はこれを使ってやってみます。
『MSCI ジャパン高配当利回り指数』の特徴
MSCI ジャパン高配当利回り指数は下記の特徴を持ったインデックスとなっています。
- 配当利回りの他に、配当性向、配当の継続性、ROE、負債や自己資本比率、収益の変動をチェックしている
- 30~100程度の銘柄で構成され年2回のりバランスをしている
- J-REITsは含まない
スクリーニング方法
MSCI ジャパン高配当利回り指数は『配当利回りの質』を調べるために、下記条件で銘柄選定を行っているようです。
- 配当性向(1株配当金/1株利益)が正
- 無配や収益がマイナスの銘柄は除外
- 配当性向トップ5%は除外し、収益と配当のバランスを確保する
- 5年間で1株当りの配当が減配している銘柄は除外
- ROEや負債、自己資本比率、直近5年の収益変動性から算出したクオリティスコアが負の銘柄は除外
- 1年間の株価パフォーマンスがマイナス(下落)している銘柄の下位5%を除外
- 残った銘柄からMSCIジャパンやMSCIコクサイ等の元指数を参考に、配当利回りが130%を超える銘柄を選択
クオリティスコアの算出方法等、詳しいやり方が探せない部分もありましたが、銘柄の選び方には十分に参考になる情報かと思います。
まずは、配当性向が高すぎない事。収益がマイナスだったり減配しているような銘柄は除外、ROEや企業の経営状況が健全である事を重視するという事だと思います。
ただし、減配については『5年間で1株当配当が減少』とハンドブックには記載されていて、単純に5年間で一度も減配が無いという意味ではなさそうです。というのも減配している銘柄も指数に採用されているのでここは解釈が違うのかもしれません。
また、株価が下落していない事も条件にしています。株価は評価の表れでもあるだけに、ここが下がり続けているようであれば見送った方が無難という事ですね。
『MSCI ジャパン高配当利回り指数』の採用銘柄
次に、MSCI ジャパン高配当利回り指数の採用銘柄を確認してみます。
2017年10月14日現在は32銘柄あり、それぞれの『株価、予想利回り、ROE、配当性向』を表にまとめました。
株価と予想利回りは10月13日の終値、ROE、配当性向は前期の情報を元に算出しています。手計算なので誤差等あると思いますがご了承ください。
コード | 銘柄 | 業種 | ウェイト | 株価(10/13) | 利回り | ROE | 配当性向 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
8725 | MS&AD | 保険業 | 5.14% | 3,587 | 3.62% | 7.80% | 34% |
7751 | キヤノン | 電気機器 | 5.12% | 3,987 | 3.76% | 5.20% | 109% |
9432 | 日本電信電話 | 情報・通信業 | 5.05% | 5,249 | 2.85% | 8.90% | 31% |
2914 | 日本たばこ産業 | 食料品 | 5.04% | 3,714 | 3.76% | 17.20% | 55% |
7267 | 本田技研工業 | 輸送用機器 | 5.03% | 3,387 | 2.83% | 8.80% | 27% |
6301 | 小松製作所 | 機械 | 5.01% | 3,472 | 1.67% | 7.30% | 48% |
9433 | KDDI | 情報・通信業 | 4.96% | 2,986.50 | 3.01% | 15.90% | 38% |
7203 | トヨタ自動車 | 輸送用機器 | 4.95% | 6,897 | 3.04% | 10.60% | 35% |
9437 | NTTドコモ | 情報・通信業 | 4.94% | 2,620 | 3.81% | 12.00% | 46% |
6902 | デンソー | 輸送用機器 | 4.94% | 5,664 | 2.11% | 8.00% | 37% |
5108 | ブリヂストン | ゴム製品 | 4.92% | 5,311 | 2.63% | 11.80% | 41% |
7270 | SUBARU | 輸送用機器 | 4.88% | 3,961 | 3.63% | 20.20% | 39% |
7201 | 日産自動車 | 輸送用機器 | 4.82% | 1,085 | 4.88% | 13.80% | 29% |
8001 | 伊藤忠商事 | 卸売業 | 4.80% | 1,868.50 | 3.42% | 15.30% | 25% |
4568 | 第一三共 | 医薬品 | 3.79% | 2,463.50 | 2.84% | 4.40% | 88% |
1878 | 大東建託 | 建設業 | 3.37% | 20,380 | 2.74% | 31.20% | 50% |
1928 | 積水ハウス | 建設業 | 3.17% | 1,985.50 | 3.77% | 11.30% | 36% |
8697 | 日本取引所グループ | その他金融業 | 2.63% | 2,062 | 2.32% | 16.40% | 61% |
8795 | T&Dホールディングス | 保険業 | 2.38% | 1,633.50 | 2.14% | 6.50% | 28% |
3405 | クラレ | 化学 | 1.96% | 2,136 | 1.96% | 8.00% | 36% |
4704 | トレンドマイクロ | 情報・通信業 | 1.85% | 5,830 | 2.41% | 15.30% | 78% |
8304 | あおぞら銀行 | 銀行業 | 1.34% | 4,330 | 4.24% | 10.70% | 50% |
6113 | アマダホールディングス | 機械 | 1.26% | 1,262 | 3.16% | 6.20% | 59% |
6302 | 住友重機械工業 | 機械 | 1.16% | 4,560 | 1.75% | 8.70% | 29% |
4902 | コニカミノルタ | 電気機器 | 1.15% | 951 | 3.15% | 6.10% | 47% |
9201 | 日本航空 | 空運業 | 1.06% | 3,881 | 2.47% | 18.10% | 21% |
2651 | ローソン | 小売業 | 1.04% | 7,550 | 3.37% | 13.50% | 69% |
4185 | JSR | 化学 | 0.99% | 2,057 | 2.43% | 8.40% | 37% |
5110 | 住友ゴム工業 | ゴム製品 | 0.97% | 2,104 | 2.61% | 9.70% | 35% |
8729 | ソニー FH | 保険業 | 0.82% | 1,808 | 3.04% | 6.90% | 57% |
3291 | 飯田グループHD | 不動産業 | 0.75% | 2,059 | 2.91% | 12.30% | 20% |
5101 | 横浜ゴム | ゴム製品 | 0.72% | 2,417 | 2.56% | 5.50% | 44% |
- MSCIの「Constituents」ページへアクセス(リンク)
- セレクトフォームで「JAPAN HIGH DIVIDEND YIELD」を選択
一部、減配を行っている銘柄もあるようですがどれもしっかり営業利益が出ていて、安定的な銘柄という印象です。
特にROEが10%を超えている銘柄はポートフォリオに加えてみたいと思うのも多く、飯田グループHD(3291)は連続増配中なので気になります。
数ある中から一銘柄ずつ分析していくのは骨が折れますが、インデックスを上手く活用すればスクリーニングされた銘柄から選ぶ事ができ選定が捗ると思います。
他のインデックスも組み合わせて考える
もう一段スクリーニングを強力な物にするために、他のインデックスも組み合わせて見るのも良いかもしれません。
例えば、GPIFが取り組んでいる『ESG銘柄』は、今後大きな資金が流れる有力候補になりますし、他にiDeCoやつみたてNISAのインデックスファンドに多く採用されている銘柄も資金流入が期待できます。
長期保有がメインの資金が入ってくれば株価も安定しそうですし、値上がりも期待できそうです。
株価は全体的にだいぶ上がってしまったので買いにくいと心理的には思っていても、押し目待ちに押し目なしという言葉もあるので、権利確定日前には割り切って買うしかありません。
配当益で儲ける以上は総投資額が重要なので、このような戦略がとれないかを検討中です。
ポートフォリオを組むのが面倒な場合は高配当ETFを
もし、個別銘柄を買うのに抵抗がある場合はETFで投資をするのも一つの手です。
国内株式だったら『iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回りETF』、米国株式だったら『バンガード・米国高配当株式ETF(VYM)』というのがあります。
どちらも低コストなETFで投資信託に比べたら安いですし、しっかり配当金も貰えるのでいいかもです。
配当金と言えば米国株なので、ドル建て購入に抵抗が無ければVYMがオススメです。
個別銘柄は自分の投資スタイルに合わせて細かく調整が可能ですが、ポートフォリオの組み換えとかは任せて配当金だけ欲しいという方はETFも検討してみてください。
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