投資のアノマリーによると9月は株安になりやすい時期と言われておりますが本当でしょうか?
アノマリーとは相場の経験則から言われる当たりやすい事象のことで、投資をしていれば一度はその手の話を聞いた事があるとは思います。
株価が下がりやすい時期があるのであれば投資家にとってそれは絶好の機会になると思いますが、長期投資用に定期的に買うなら何時がいいかなとずっと考えていました。
そこで今回は日経平均とダウ平均株価の過去データを使い、このアノマリーを検証し株の買い時を探ってみたいと思います。
月別の投資アノマリー
投資のアノマリーには「節分天井・彼岸底」のような季節(月)を表すようなアノマリーや、「選挙は買い」のように出来事に対するアノマリーなどがあります。
今回は最適な投資タイミングを調べたいため月別の投資アノマリーを順にまとめます。
月 | アノマリー | 方向性 | 内容 |
---|---|---|---|
1月 | 1月効果 | 買い | 大口の機関投資家が12月下旬に手仕舞いしたもの買い戻しするからと言われている |
2月 | 節分天井 | 買い | 新春相場の流れを引き継ぎ、節分の時期頃(2月上旬)に高値を付けやすいと言われている |
3月 | 彼岸底 | 売り | 彼岸の時期(3月中旬)に安値を付けやすいと言われている。年度末の調整? |
4月 | 4月効果 | 買い | 新年度で新規の投資資金が株式市場に流入しやすいと言われている |
5月 | Sell in May/GWの値動き | 売り | セルインメイは最も有名なアノマリーで、5月は売れと古くから言われているそうです。日本では4月末の決算発表後にGWの長期休暇があるため値動きが激しくなりやすく、5月が天井となりやすいようです |
6月 | 特になし | – | – |
7月 | 夏枯れ相場 | 売り | 市場が閑散期に入り出来高が減少しやすい時期。日本、海外共に夏休み時期でもある |
8月 | 夏枯れ相場/8月後半の円高 | 売り | 7月に続き夏枯れ相場。日本ではお盆時期。為替は円高に振れやすい時期と言われている |
9月 | 9-10月の株安/彼岸底 | 売り | 夏枯れ相場の流れを継ぎ、一年で最も株価が冴えない時期と言われている。また秋の彼岸がありここが底になりやすいとも言われている |
10月 | 9-10月の株安/ハロウィン効果 | 売り | 9月に続き売られやすい時期だが10月末のハロウィンを堺に反発しやすいと言われている。ブラックマンデーなどの歴史的暴落が集中している時期でもある |
11月 | 11月の株高 | 買い | 7月から続いた株安からの反発時期と言われている |
12月 | 12月の株安 | 売り | 利確による売り越し。クリスマスに年末年始の休暇。特に為替相場はクリスマスを過ぎると閑散とします |
こうやって月毎のアノマリーを調べてみると「確かにそうかも」と思う部分が多いですね。
それでは次は日経平均とダウ平均株価を使ってこのアノマリーを検証してみます。
過去の株価データを利用した検証
投資のアノマリーが当てはまっているかを調べるために、日経平均とダウ平均株価の月毎の勝敗を調べます。
条件は以下のようにします。
- 期間は1989年1月~2018年12月の30年分のデータ
- 株価は月の終値を利用
- 月毎の勝敗=前月の終値÷当月の終値が1以上で勝ち、1以下で負けを判定
- 上記を元に30年分の勝率を月毎に算出
日経平均とダウ平均株価の勝敗データ
ダウ平均(勝率/%) | 日経平均(勝率/%) | |
---|---|---|
1月 | 60 | 53 |
2月 | 67 | 53 |
3月 | 67 | 50 |
4月 | 73 | 60 |
5月 | 67 | 53 |
6月 | 40 | 53 |
7月 | 73 | 50 |
8月 | 57 | 40 |
9月 | 47 | 40 |
10月 | 63 | 50 |
11月 | 73 | 67 |
12月 | 70 | 63 |
検証データからわかった事
上記で月毎の勝率を求めたのでこのデータからわかった事をまとめます。
- 9月は同時株安になりやすい
- 4月と11月は同時株高になりやすい
- 日本は8月と9月が株安になりやすい
- 米国は6月と9月が株安になりやすい
単純な月毎の勝率での判断ですが、この傾向を見る限り投資のアノマリーは結構当てはまっているように思えます。
また、アノマリーと合わせて覚えておきたい事にヘッジファンドの45日ルールというものもあります。
海外のヘッジファンドに出資する場合、解約できるタイミングは3ヶ月に一度、そして45日前までファンドに解約の通知をするルールになっている事が多いそうです。解約通知を受けるとヘッジファンドはマーケットインパクトがなるべく出ないようポジションを手仕舞う必要があります。そのため十分な時間が必要となりこの45日ルールがあると言われています。
この時期が2月、5月、8月、11月の15日頃とされていて、アノマリーのとおり株価が天井となりやすかったり株安になりやすい時期と重なります。
もちろん株価を決定する要因は他にも沢山ある訳ですが、こういう定期的に起こるイベントもアノマリーに関係していそうですね。
まとめ:株は9月に買え
昔から言われている経験則だけあって投資のアノマリーは一つの参考情報になると思います。
米国と日本で若干の差はありますが、同時株安になりやすい9月は株の買い時と言えるのではないでしょうか。
長期投資で定期買い付けするルールにも使えそうなので株式投資をするなら覚えておきたい情報ですね。
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