JT(日本たばこ産業)をはじめとするタバコ株の配当利回りが魅力的になっています。
8月末時点でJT(2914)は6.84%、米国のアルトリア・グループ(MO)で7.69%と高く連続増配銘柄でもあるので、配当株ポートフォリオに加えたくなる銘柄です。
しかし、次から次へと出てくる規制のニュースや、喫煙スペースの減少をみていると世間からどんどん嫌われているのでどうにも気にが引けます。
そこでタバコ株を躊躇するネガティブ要因と、買いたくなるポジティブ要因をを洗い出し、それを踏まえた上で投資するかどうかを判断してみたいと思います。
タバコ株の配当利回り一覧
まずはじめはタバコ株の配当利回りからみてみます。
タバコ株の魅力は何と言っても高配当であることなので、これがどれくらい魅力的な数値なのかを確かめます。
コード | 銘柄 | 株価 | PER | 配当利回り |
---|---|---|---|---|
2914 | 日本たばこ産業 | 2,250.5円 | 10.14 | 6.84% |
MO | アルトリア・グループ | 43.74ドル | 10.83 | 7.69% |
BTI | ブリティッシュ・アメリカン・タバコ | 35.10ドル | 10.69 | 7.69% |
PM | フィリップ・モリス・インターナショナル | 72.09ドル | 13.69 | 6.33% |
※ データは2019年8月31日現在のものです。
タバコ株はいずれも6%以上の利回りでPERも割安なのでこれだけを見れば買ってみたいなという水準ですね。
ディフェンシブ銘柄であればこれだけの理由でも買ったりしているのですが、タバコ株は少し違うと思っているので次でネガティブ要因を見ていきたいと思います。
タバコ株のネガティブ要因
現在は吸っていませんが、10年以上タバコを吸ってきて止めた人間として考えられるネガティブ要因を挙げていきます。
株価が下落中である
何と言ってもタバコ株に躊躇するのが株価が絶賛下落中という点ですよね。
2017年頃にポートフォリオを組んだ時もJTが候補には上がりましたが、他の銘柄はほぼ上げていたのに対しJTだけが冴えない感じでした。(結局、その時も買わなくて正解だった)
JTだけでなく他のタバコ銘柄も微妙な感じでダウ平均やS&P500は調子が良いのに逆行しているのがとても嫌な感じです。今買えば逆張りになってしまうのでそこがあまり好みではないですね。
下記にタバコ株の月足チャートを掲載しますが、下げ止まらない限り買いたいと思うチャートではないのは確かです。
日本たばこ産業(2914)
アルトリア・グループ(MO)
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)
フィリップ・モリス(PM)
JTの取組倍率が高い
JTの場合は直近の取組倍率が高いのも気になります。
この下落で信用で買った人が多かったようですが、将来の売り圧力になりかねないので少し警戒したい所です。
取組倍率は一つの指標でしかないですが保有している株で含み損を抱えているのは取組倍率が高い株ばかりだったり…
タバコに対する規制が厳しい
日本ではオリンピックに向けてタバコの規制がより厳しくなってきました。
しかし、日本はまだ緩いほうだと思っていてハワイ何かに遊びに行くと喫煙できる場所の少なさに驚きます。
ホテル内は何処も完璧に吸えないので少し離れた所までわざわざ出ていかないといけないほど。そのせいもあってか街頭では歩きタバコをしている外国人観光客をよく見かけます。
喫煙所で立ち止まっていると不審者が近寄って来たりするのでそのせいもあるのかも知れませんが。
日本でも喫煙可能な場所が減ってきた
まだまだ喫煙者に優しい日本ですが関東圏では公共の場で吸える場所が減ってきました。
特にびっくりしたのがあちこちの居酒屋で禁煙化が進んでいる点で、以前であれば店の外で吸うか喫煙ルームがあったのですが現在では遠く離れた最寄りの喫煙所を探すしかないらしく、喫煙者は大変そうです。
路上喫煙はだいぶ前から禁止ですが、高齢者の違法喫煙は非常に目立ちますね。若い世代はマナーを守っているのかあまり喫煙者自体を見なくなりました。
喫煙可能な所は避けている自分がいる
喫煙歴は10年以上ありましたが禁煙してからはタバコの臭いが嫌で、喫煙可能なお店には行かないようになりました。
非喫煙者になってみるとタバコの煙って非常に嫌な物で、ご飯を食べている横でタバコを吸われると台無しな気分になります。吸っていた時はそこまで気になりませんでしたが、止めて初めてタバコが嫌われる原因に気付いた感じです。
今後も非喫煙者を優先する社会になっていくと思うので、気軽に一服が減って消費量が落ち込みそうな気もします。
減配リスクが怖い
最も大きいネガティブ要因としてはやはり減配リスクがあります。
高配当を理由にタバコ株を買う投資家が多いと思うので、減配を発表すればほぼ確実にぶん投げられます。
過去の高配当では日産やサンリオ、京都きもの友禅なども人気でしたが、業績悪化で減配し株価も低迷しました。特に日産は不祥事のオンパレードでしたしね。
これまでに稼いだキャッシュで今は大丈夫でも業績が冴え無ければ減配リスクも現実味を帯びてくるのでその時が怖いと感じています。
私も他の高配当銘柄を「配当目的」で買ってはいますが、値上がり益が配当を貰うより魅力的に映ればサクッと売ってしまいます。
過去の損益を整理してみたら最も収益を上げているのはやはりキャピタルゲインなので、値上がりも期待でき配当も貰える都合の良い株へ投資するのが自分には合っているのかなと感じています。
逆に握りすぎて腐ったのもあるのでやっぱり利食い千人力です。
タバコ株のポジティブ要因
次はタバコ株のポジティブ要因を洗い出してみます。
連続増配中
最大のポジティブ要因と言えば外せないのが連続増配銘柄が多いという点です。タバコ産業は今の所しっかりと利益が出続けるビジネスなので配当には安定性があります。
アルトリアは49年連続増配という凄い銘柄ですし、JTでも15年連続増配という日本ではトップレベルです。
これは暫くは続くと思われるので株価が下げ止まったら買ってみたいと思う要因の一つになります。
PERが割安水準
もう一つ大事な指標にPERが割安水準という点があります。
先ほども書きましたが数値だけ見たらこれで株価が下げ止まってくれたら買い時かなと思う要因です。
次世代タバコの動向が気になる
タバコ業界の関心事が次世代タバコの覇権をどこが握るのかです。加熱式タバコはIQOS(アイコス、PM)、glo(グロー、BTI)、Ploom TECH(プルームテック、JT)が、電子タバコはJUUL(アルトリアが出資)が挙げられます。
知人の喫煙者達を見るとほぼ間違いなく紙タバコから加熱式タバコに移っていてほぼIQOSユーザー。
この人達はなぜかIQOSを最初批判していましたが、今では紙タバコには戻れないと言う人もいます。喫煙者的にはいい物らしいです。
禁煙して暫く経つので疎いですが、加熱式タバコの器具とヒートスティックには互換が無く、しかもヒートスティックの装着不良が結構起きるようで無駄になる事もあるようです。
紙巻きタバコであればこのような事は起きませんが、装着不良が起きると上手く吸えないようで新しいのを再装着しているのを見ると消費量が若干増えるのでは?と思ってしまいます。
また、装着不良に文句を言いながらも新しいヒートスティックを刺し直す辺りが「あぁ、喫煙者なんだな」と思います。
タバコは依存度が高い
タバコに含まれるニコチンは脳が分泌する安定物質に取って代わるそうで、喫煙を続ければ続けるほど安定物質の分泌量が減りニコチンを求めるようになるそうです。
禁煙をして暫くすればまた脳の機能が回復するのですが、それまでは耐え難い苦痛を感じるので自力での禁煙は非常に困難です。(自分の経験談)
つまり、タバコとは一度習慣づいてしまうと自分の意思だけでは中々断ち切れない必需品となってしまいます。この毒性がタバコ企業の収益の源になっているんですね。
禁煙ブームが来そうで来ない
世の中では喫煙場所が減り、タバコの価格が上がっているというのに禁煙ブームが一行に来ないのもポジティブ要因かと思います。
喫煙者の知人は価格が上がろうが、持病が悪化しようが構わず吸うという意思を貫いている人が多くて禁煙という概念は無いように感じます。
私は禁煙外来に通いファイザー(PFE)のチャンピックスを服用してようやく禁煙に成功しましたが、担当してくれた医師の話では禁煙しようと思って外来を受けた人でも4割も失敗するそうです。
チャンピックスの効果は絶大でタバコはまずくなるし、吸いたいという衝動も消えるので禁煙が成功しないとおかしい位なんですけど。
禁煙外来の案内はあちこちの病院で見かけるのですが、Googleトレンドを見てもいまいち話題になっていないので積極的に止める人も少なそうですね。
まとめ:タバコ株をポートフォリオに加えるか?
タバコ株のポジティブ要因とネガティブ要因を自分なりの視点で洗い出してみましたが、株価の下落が止まったら買ってみたいかなと思いました。
タバコを取り巻く情勢は確かに厳しいのですが、それを覆すほどの依存力がタバコにはあります…
生粋の喫煙者はどんなに価格が上がろうと、喫煙場所が減らされようとニコチンを求め定期的にタバコを吸いに彷徨います。ソーシャルゲームで言うところの重課金者みたいな存在なので、タバコの販売が禁止されない限りは安定するんだろうなという感じがありますね。
もし、ポートフォリオに加えるとすれば10%以下にしますが、少しでもポートフォリオの利回りは上げたいですよね。
タバコ株は下落が続いているので世の中の注目度も上がっていますが、容易に飛び付かずじっくり注視していきたいと思っています。
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